役員報酬の決め方

役員報酬の決め方|社長の給料を月額いくらにするか、3ステップで判断する

役員報酬は「高いほど節税になる」でも「低いほど社会保険が減る」でもありません。法人税・所得税・社会保険の合計コストで逆転しない月額を、会社の現金を守りながら設定するのが正解です。

  • 3ステップで月額を決める方法
  • 会社利益別の目安表(年利益300万〜2,000万円)
  • 変更ルールと議事録の作り方
役員報酬の決め方 3軸のバランス
法人税・所得税・社会保険の3軸で合計コストを比較して決める
失敗から学んだこと

27歳での起業時、役員報酬を「高く設定すれば節税になる」という情報だけで決めました。結果、法人税は下がりましたが所得税と社会保険料が想定以上に増え、会社の現金残高が毎月削られていきました。1,600名以上の税理士と面談してきた経験から言えば、役員報酬の設定ミスは設立直後の会社が最も多く犯す失敗の一つです。

税金だけで判断せず、「会社に残すべき現金」と「自分の手取り」の両方を試算してから決めることが、資金繰りを安定させる最初の一歩です。期首3ヶ月を過ぎると1年間変更できないため、設立直後に必ず税理士と試算してください。

役員報酬の決め方:3ステップ

決算や資金繰りを含めて整理したい方は「決算 税理士」まとめページをご覧ください。→ 決算 税理士

役員報酬は「いくら欲しいか」から決めると失敗します。正しい順番は①会社の現金を守る → ②生活費の上限を設定 → ③税金と社会保険で微調整、です。

  1. 会社の現金安全ラインを先に確保する
    今期の納税見込み額+運転資金3〜6ヶ月分を会社に残す前提で試算します。これを下回る月額は設定できません。
  2. 生活費から月額の上限を設定する
    手取りで毎月必要な生活費(家賃・食費・保険料・教育費など)を確認します。手取りは役員報酬から所得税・社会保険料を引いた額になります。
  3. 低め・中間・高めの3パターンで税金と社会保険を比較する
    3つのパターンで法人税・所得税・社会保険の合計を計算し、最も合計コストが小さくなる月額を選びます。
役員報酬 3ステップの決め方
ステップ1で現金を守り、ステップ3で税金と社保の最適化を行う

会社利益別の目安表

まず目安の月額をこの表で確認し、そこから3パターンを作って比較します。目安はあくまで出発点です。

今期の会社利益(目安)役員報酬の月額目安考え方
300万円月15〜20万円固定費を抑えて現金を守る段階
500万円月25〜30万円税金と社保のバランスが効き始める
800万円月35〜45万円法人税節減が大きくなるゾーン
1,000万円月45〜55万円所得税との均衡点を意識して調整
1,500万円月55〜70万円所得税・社会保険の上限付近に注意
2,000万円以上月70〜90万円社保上限・所得税率の高い帯を避ける

目安は業種・経費構造・生活費によって変わります。必ず税理士と試算してから確定してください。

役員報酬の目安表
利益と役員報酬の関係。利益が増えても単純に上げればよいわけではない。

よくある失敗パターン

  • 「法人税が減るから高くすればいい」と月額を上げすぎた:所得税が急増し、社会保険も増えて手取りが逆に減ったケース。合計コストが上がる月額帯があります。
  • 「社会保険を減らしたい」と低くしすぎた:法人税が増加し、会社の現金が薄くなり決算で苦しくなったケース。社会保険の節減より法人税増加の方が大きくなることがあります。
  • 生活費から逆算せずに決めた:月額を設定したが手取りが生活費に足りず、役員貸付(会社からの借入)で補填するようになったケース。これは税務上リスクがあります。
  • 期首3ヶ月を過ぎてから変更しようとした:「高すぎた」と気づいても変更できず、1年間その月額のまま継続せざるを得なくなったケース。
役員報酬の失敗パターン
失敗の共通点は「1軸だけで決めること」。3軸を同時に見て決める。

議事録の作り方と変更ルール

役員報酬を税務上「損金(経費)」として認めてもらうには、定期同額給与の要件を満たす必要があります。毎月同じ金額を支払い、その決議を議事録として残すことが実務上の必須条件です。

議事録に記載すべき内容:決議日・役員報酬の金額・適用開始月・決議した機関(株主総会または取締役会)の名前と署名。これが欠けていると税務調査で否認されるリスクがあります。

変更できる例外:①業績悪化改定(売上が大幅に減少し、経営が危機的な状況)、②役員の職務が大きく変わった場合(例:代表取締役→取締役に降格)、③事前確定届出給与(賞与等を事前に税務署に届け出て支払う形)、の3つです。「節税のため」「もっと欲しくなった」は理由になりません。

役員報酬の議事録と変更ルール
変更できる例外は3つのみ。決めた後は固定が原則。

よくある質問

Q
役員報酬の決め方で最初に見るべきことは?
会社の現金安全ライン(納税見込み+運転資金3〜6ヶ月分)を先に確保した上で、残りの範囲で生活費をまかなえる月額を設定します。税金や社会保険の最適化はその後の微調整です。
Q
役員報酬を高くすると税金はどうなりますか?
法人税は減りますが、個人の所得税と社会保険料が増えます。一定の月額を超えると節税効果より個人の税・保険料増加の方が大きくなり合計コストが逆転します。全体の合計コストで比較してください。
Q
役員報酬はいつまでに決めますか?
事業年度開始から3ヶ月以内に決定が必要です。この期限を過ぎると、その期中は原則変更できなくなります。設立直後の方は特に注意してください。
Q
役員報酬に消費税はかかりますか?
かかりません。給与・役員報酬は消費税の課税対象外です。
Q
役員報酬をゼロにすることはできますか?
可能ですが、社会保険の取り扱いや税務上のリスクがあります。ゼロにする場合は必ず税理士に確認してください。
Q
役員報酬は経費(損金)になりますか?
定期同額給与の要件(毎月同じ金額を支払い、議事録で決議)を満たせば損金算入されます。要件を満たさない場合は損金に算入できず、法人税の節減効果がなくなります。

役員報酬の設定、期首3ヶ月以内に相談してください

「今期の利益でいくらが最適か」「3パターン試算してほしい」まで、税理士に依頼できます。

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