話題のカリスマ社長から学べ!経営の才覚

<ゲストプロフィール>

トレンダーズ株式会社
代表取締役/経沢 香保子(つねざわ かほこ)

株式会社リクルートに入社後、、創業間もない楽天株式会社へ移り、楽天大学などさまざまな新規事業開発に携わる。 2000年、女性に特化したマーケティングサービスを提供するトレンダーズ株式会社を設立、代表取締役に就任。

監訳を務めた「メガトレンド2010」も好評発売中!!

VOL.3
人を雇おう! 人材採用によって経営者は成長していく

会社を大きくするにはどうしたらいいのか? そんな疑問をトレンダーズ株式会社、代表取締役である経沢香保子さんに伺いました。起業はしたものの事業を継続することや会社を発展させていくことが難しいと感じている経営者の皆さんはもちろん、これからの起業を目指す方々も必読です。

1. 会社の継続発展には人材採用と組織作りが重要

前回はリスク分散として、事業をいくつも構築することの必要性について伺いましたが、さらに会社を継続的に成長させていくために必要なことはありますか?

ここまでは社長ひとりの力でも十分に経営が成り立つレベルですが、さらに成長させるためには、社長がしっかりと組織を構築できるかどうかですね。つまり、人を雇用し、経営者がしっかりと経営、マネジメントをしていくことだと思います。

確かに起業当初はなんでもひとりで始めて、完結し、売り上げをあげていく人がほとんどで、なぜか人を雇用する組織を作るということを忘れてしまう傾向にあるようです。そうならないために、どこの時点で人を雇用していくべきか、また経営者がしっかりと経営・マネジメントをしていくための考え方や方法を教えていただけますか?


経営の転換の目安は自分自身の仕事がいっぱいいっぱいになって誰かの手が必要になったときだと思います。その時点で社長としてやるべき仕事に徹すると考えを切り替えることです。社長としてやるべき具体的な仕事とは、全体の仕事の流れや仕組みを作り、それを把握し、またそれがスムーズに進んでいるかどうかを見守り、何かトラブルが起きたときは対応して責任を取り、監督することです。その組織で業務を遂行してくれるのはスタッフですから、その人たちとの環境作りが最優先になってくると思います。

スタッフを雇うとなると、経営者としてその人たちの生活のことも真剣に考えないといけないですし、雇ったとしてもすぐ辞められたり、こちらが求める人が求人に来なかったりと悩みも多いようです。経沢社長はそのようなとき、どのように対応されていらっしゃいましたか?

私も人を雇うまでは、自分ひとりが食べていければいいし、うまくいかなければ会社をたたんで再就職すればいいと思っていたんですね。ただ雇った瞬間から、そのスタッフの固定収入を稼がないといけないと思い、しっかりとした事業モデルを考えなくてはいけないというような覚悟が決まり、スタッフを幸せにしょうという思いも芽生えました。そうやって責任を背負うことで人間として、そして経営者としての器が大きくなっていくのだと思えましたし、それにより会社や自分も成長できたのだと思います。

もちろん、最初はスタッフを雇うことに苦労しました。まず、会社にとって必要な人材を採用するには、自分の会社の採用力をあげる努力をしないといけません。特に小さい会社ならばぴったりと仕事にあてはまる人材が必要になってきます。有名な会社であれば会社のブランド名だけで人材が集まってくるかもしれませんが、小さい会社ではそうはいきません。

トレンダーズではどのようにしていますか?

社風や社員の様子、仕事の内容など、うちに来ていただきたい人にとって魅力的な、心が揺り動かされて一緒に働きたいと感じられる内容をWEBサイト上で掲載しています。また 採用の過程においては、フィーリングで採用するのではなく、できるだけ書類やデータで冷静に判断することです。

例えば、書類やデータの判断材料として履歴書や職務経歴書があります。書き方ひとつでも、汚い字で書いてあったり、二本線で消してあったり、添付する証明写真が友達との写真を貼ってあったりといい加減だったりすると、採用してもお客様に対して丁寧な対応ができないなと想像がつきます。あと、文章も相手、つまり応募する会社に対して相手側のニーズを汲んで自分のセールスポイントを売り込んで伝えることができなければ、仕事をしてもおそらくうまくいかないということがわかります。

なるほど。採用活動には、経験が必要なんですね。

そうやって何度も人材採用を経験することで、経営者自身の採用スキルあげていくことです。もちろん、採用する側として面接などの採用の過程において、相手が活躍できるような動機付けをしていくことも重要です。また、マネジメントをしていてよく思うのが自分とスタッフとの距離感をいつも考えておくことですね。スタッフをほったらかしたり、干渉するのではなく、責任はすべて自分がとることが前提で、スタッフを信用して好きに仕事を任せしながら、場合よっては、軌道修正してあげることだと思います。

また、経営者は3年、5年といったスパンで仕事をやっていますが、スタッフは目の前の仕事、現在をみています。ですから、経営者であれば長期的に考えた場合我慢できることでも、スタッフにとっては難しいこともあります。その意識感覚の違いを把握し、対応していくことがとっても重要になってきます。そのためには経営者が自らの自我を抑え、感情をコントロールすることが必要ですね。

2. 会社の根幹がしっかりしていなければ取材は逆効果
磐石な組織ができあがった段階でさらに必要なことはなんですか。

会社が社会から必要不可欠な存在になっていくことだと思います。トレンダーズでは、女性起業塾や女性管理職の紹介事業がそれにあたるのではないかと思います。

例えば、女性起業塾は単なる起業家支援のセミナーではなく、これから少子化を迎える時代の中で、時間的にも、経済的にも比較的自由な形になったとき、女性としての幸せと、仕事の充実感、そして社会貢献が果たせる理想的なモデルケースとなる人をたくさん育成し、仕事と女性としての人生を両立させ、安心して子供を産める社会作りの一躍を担うことを念頭に運営しています。

確かに働く女性にとって仕事と家庭の両立は大きな課題ですからね。

さらに、女性が輝いて働くことを起業だけに絞るのではなく、結婚・出産で退職することなく、仕事と家庭を両立させながら輝く女性が、先輩として組織内でたくさん活躍していれば、後に続く流れが作れると考えています。そのためには女性管理職がいなくてはならないですし、また女性を活用できない企業は、顧客としての女性を味方にすることもできないので、生き残るのは難しいとも思っています。そういった背景から日本で初めての女性管理職の人材紹介事業を始めました。このように、社会からトレンダーズがなくなったら困るという組織に育てたいと思っています。

やはり社会から必要とされる存在になることは重要ですね。その一方で、最近は新会社法も施行されて誰でも役所に登記さえすればひとりでも会社を興せるようになりました。ですが、誰にでも経営者としての器が備わっているかというと、そうとも言えないようです。経沢社長にとって経営者として必要な要素は何だと思いますか。

経営者として判断し、行動できる脳をもつことですね。事業を始めたからには常に利益を出していかなくてはならないことを理解し、そのための目的に向かってやるべきことをシンプルに考え、実行していくことでしょう。

経営者としての脳を鍛えるためには、常に物事を主観的にではなく客観的にみること。 例えば、自分が商品・サービスを購入したとき、なぜ自分は欲しくなったのか考えて、提供者の意図やその裏側にある物事を探ってみることで、客観的に物事を読み取る能力が備わってくると思います。毎日訓練してくると、そういった情報が蓄積されているので、直感でひらめいたことやアイデアが洗練されていいものができるようになってきますね。

また「周りをいかに喜ばせるか」という視点を忘れないことも大切でしょう。うまくいっている人は人を喜ばせたり、何かをしてあげることが好きな人です。それと社長である経営者として、粘り強くあきらめずに目標達成できるまで何が何でもやることでしょう。「もし駄目ならこれ」「これが駄目ならあれ」というように、何パターンもの代替案を用意し、とにかく結果がでるまでやることだと思います。あとは、先にも言いましたが、マネジメント能力と物事を遂行する能力、組織をまとめる能力だと思います。

事業を始めた起業家やさらなる発展を望む社長にとって、事業を維持・発展していくために必要なことがよくわかりました。貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。

ありがとうございました。

 

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──次回、Vol.1『ビジョンがない起業は成功しない』へ続く

ゲスト:経沢 香保子(つねざわ かほこ)
トレンダーズ株式会社 代表取締役

1973年千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。その後、創業間もない楽天株式会社へ移り、楽天大学など様々な新規事業開発に関わる。2000年、26歳でトレンダーズ株式会社を設立、代表取締役に就任。“「女性」と「働く」をHAPPYに”を起業理念として、女性に特化したマーケティング事業やPR支援事業、女性の起業やキャリア支援サービス「女性起業塾」「戦略キャリア塾」や、女性に特化した転職支援サービス「トレンダーズキャリア」を提供している。特に、女性のキャリア支援に関しては、各種の無料サービスや無料イベントを続々と行っており、ネット上で日本初となる女性限定SNS「Only1.be」の運営など、向上心溢れる女性たちの支援に全社をあげて力を入れている。著書には10万部のベストセラー「自分の会社をつくるということ」「ミリオネーゼの起業入門」がある。2006年3月には、経沢香保子監修の書籍であり、トレンドリーダー50名の女性が登場する「夢を実現した わたしの仕事 わたしの方法」が発売された。また、監訳を務めた「メガトレンド2010」も好評発売中。

ナビゲーター:大橋 悦子(おおはし えつこ)
株式会社ECOM 代表取締役、296有限責任事業組合(296LLP) 職務執行者

平成5年株式会社金沢エアシステム入社し、株式会社日本エアシステムグランドホステスに勤務。その後、平成8年、渋谷工業株式会社入社国際部配属を経て、平成12年伊藤忠商事株式会社へ入社し、輸出入業務、営業、為替予約管理全般に携わる。平成14年起業家支援サイト296会社.com (作ろう会社どっとこむ)(http://www.296kaisha.com)を立ち上げ、翌年リーダーズクリエーション株式会社(現株式会社ECOM)を設立、代表取締役に就任。平成18年296会社有限責任事業組合(296LLP)立ち上げ、296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部を同組合で職務執行者として運営。

独立開業支援を軸に、各分野のスペシャリストと業務提携し国内外法人設立支援、経理記帳支援事業、戦略の立案、各種法的相談支援、広報・PR・セミナーなどの企画・立案・運営業務の事業を幅広く行う。

小冊子「誰も教えてくれなかった起業・独立の極意」通算2万8,000部発行配布、「資本金1円で会社設立」セミナー通算15回開催延べ約500人参加、100社以上設立支援、「サラリーマン起業で年収3倍倶楽部」通算17回開催延べ2,000人参加、その他会計税務セミナー、コンサルティングコースなど開催し、毎回満員御礼にて多数の実績。

制作提供:(株)ECOM296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部
(C)2006ECOM Co., LTd., All rights reserved.296会社.com

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バックナンバー
Vol.1『あなたの会社は誰も知らない!無名の会社の効果的なPR戦略 』
Vol.2『起業の成功の秘訣はクオリティとオンリーワン!』
Vol.3『人を雇おう!人材採用によって経営者は成長していく』